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左官の仕事~ 石膏型抜き

投稿日:03.21.2015|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

ヨーロッパにある古い建築物は装飾が凄いですよね。

石で彫刻をされたモノも多いのですが、中には左官工法で仕上げられたモノもあるのですよ。

その左官工法のひとつが    【 石膏型抜き 】 です。


市政資料館の天井飾り(名古屋)




石膏型抜き とは、 型に石膏を流し込んで出来上がったモノ の事です。

これを壁や天井に張り付けて装飾するのですが、これは左官技法と言うよりは芸術の類と言えるでしょう。



ヨーロッパの建築物は内壁全てにド派手な装飾が施され、天井一面にはフレスコ画が描かれたモノなどを写真で良く見かけます。

これはこれでヨーロッパらしく素敵なのですが、日本人には 『 派手すぎず、さり気ない美しさ 』 のほうが合っているかもしれません。

日本で見られる洋館などは、どちらかというとシンプルで綺麗にまとめられている印象ですね。

なかには ド派手はモノもありますが・・・



私自身は施工経験がないのですが、経験者から聞いた話や文献で調べた情報を元に 【 石膏型抜き 】 の施工法を書き記します。




1.   油土(油粘土)で装飾物の原型を作る


2.   箱の中に油土で作った原型を入れる


3.   寒天(もしくはシリコン)を流し込む


4.   寒天が固まったら、油土で作った原型を取り出す


5.   細部を修正して母型の完成


6.   母型に石膏を流し込む


7.   石膏が硬化したら取り出す


8.   裏面に糊の濃い漆喰を塗り付け、壁や天井に張り付ける


9.   細かい部分を整形する




以上です。


カリスマ左官の久住章さんは  漆喰で型抜き  をされたことがあるそうです。

石膏よりも漆喰のほうが柔らかいので、 「  貼り付ける時に融通が利く  」 と仰っておりました。

全国的には石膏を使ったモノのほうが多そうですが・・・



何にせよ  【 石膏型抜き 】 は左官彫刻に欠かせない技術です。

《  漆喰蛇腹  》 と組み合わせると、とても素敵な空間を演出できると思いますよ。

愛知県一宮市のほうでも、ドンドン提案していきたいです。









左官の仕事~ 蛇腹引き

投稿日:03.01.2015|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

古い洋館の天井と壁の入隅には、帯状に巡らされた凸凹の装飾で仕上げられている事があります。

なかには何段もの複雑な凸凹の場合は左官仕上げで施工されている事も・・・

この凸凹で帯状の仕上げこそ、    【 蛇腹引き 】 なのですよ。


兵庫県にある孫文記念館で見かけた蛇腹






蛇腹引きは大きく分けて   《 現場引き工法 》 と    《 置き引き工法 》 の二種類の工法があります。



《 現場引き工法 》 とは、現場で材料を直に塗り付けてから型を引いて施工する工法です。

漆喰を使って現場で仕上げるモノは 『 漆喰 蛇腹 』 と呼ばれます。

洗い出し仕上げ や モルタル  などでも 現場引き工法 で蛇腹を仕上げる事もあります。



《 置き引き工法 》 とは、作業のしやすい平坦な場所で材料を置いて型を引き、それが硬化してから現場で取り付ける工法です。

石膏を使って施工されたモノは  『 石膏 置き引き 』  と呼ばれます。




私が修行先で働いていた頃、社長の息子は寮の隣にあった “ ほったて小屋 ” で蛇腹の研究をされておりました。

たまに置き引き工法を施工しているところを見せてもらっていたのですが、当時の私はこういった装飾系の左官仕上げにあまり興味がなかったので、いろいろと説明してくれた事も全く頭に入っておりません。

今更ではありますが、   「 あの時、もっと真剣に学んでおけば・・・ 」  と大変後悔しております。



左官屋が蛇腹を仕上げるメリットは    “ 継ぎ手が見えない ”   という事でしょう。

そして、  “ 応用力がある ”   ので細かい納め方にも気を配れます。

何より、 “ 好きな形状にデザイン ”   をして、それが現場で形となって反映されます。

既製品では決して出来ないことですね。

乾式工法(既製品)は  『 安くて早い 』  かもしれませんが、湿式工法(左官の蛇腹仕上げ)のようなこだわりが反映できません。

こだわりを求めるならば、湿式工法での施工をお勧めしますよ。


素晴らしき左官仕上げ・    【 蛇腹引き 】 がもっと見直されるようになれば良いですね。

愛知県一宮市のほうでも、ドンドン提案していきたいです。