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左官の仕事~ 版築

投稿日:12.05.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

月から地球を眺めると建築物をひとつだけ見つけることができます。

それは中国にある  《 万里の長城 》   なのですよ。


この建築物の長さは6千㎞とも8千㎞とも言われており、様々な説が飛び交っているようですね。

万里の長城は秦の始皇帝が中華統一を成し遂げた後、異民族からの防衛の為に建てられたのが始まりだそうです。

その後、明の代まで長い年月を掛けて現存する万里の長城が作られました。

明の代では石とレンガで築かれておりましたが、それ以前は   両側に板を立てて、その上から土を詰め込み、杵などで突き固める工法   で作られていたそうです。


この工法こそ、 【 版築 】  の元祖なのですよ。


(株)オオタで施工した薪ストーブ周りの版築




版築の硬化メカニズムは西洋の水硬性石灰に近いものがあります。

土だけだと強度が弱いので、  石灰や苦汁などを混入してポゾラン反応を起こさせ、強度を格段にアップさせる  ようです。

日本でも外部で使われる事もありますが、その配合比は難しく職人の経験に左右されるので、手っ取り早く  セメントを混入する 人もいると聞きます。

これが 「 本物の版築か? 」 と賛否両論もありますが、そこは施主や設計士に判断してもらうのが良いかもしれませんね。


版築は施工法が単純な為、世界中で見る事ができ、日本でも土塀などはこの工法で施工されている事が多いです。

近年でも愛知県常滑市にあるINAX・ライブミュージアムの 《 土・どろんこ館 》 が外壁に施工されました。

そのスケールはとてつもなく凄いですよ。


INAX・ライブミュージアム 《 土・どろんこ館 》  で見かけた巨大な版築の壁





ここ最近は、 層によって色土を変える多色の版築が主流  となってきました。

好みによって色を変えられるので、一般受けが良いようですね。

私自身は  単色の版築のほうが、派手さはないけど土の素朴な美しさがある   ので好きなのですが・・・

これは好みなので、施主や設計士次第でありますね。



本物の版築ではありませんが、版築風の仕上げとしてここ最近、人気なのが、

《 地層仕上げ 》  と   《 塗り版築 》  です。




こちらも色々な施工法がありますが、版築のように地層をイメージさせる仕上げです。

ただし、本物の風合いには及びません。

本物が施工できる条件ならば、なるべく本物の版築をお勧めしますよ。


版築は私自身もまだまだ施工経験が少ないですが、もっと仕事に繋げていきたい仕上げのひとつであります。

愛知県一宮市のほうでも、ドンドン提案していきたいです。








左官の仕事~ 巾木ブラッシング仕上げ

投稿日:11.20.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

建物の基礎巾木にこだわる人は多くないですよね。

コンクリート打ち放しのままで、その上に何も施工しない事も少なくありません。

左官仕上げで施工といっても 《モルタル》 か 《薄塗り補修》  で、 “金鏝仕上げ”  か  “刷毛引き仕上げ”  といったところでしょうか。

巾木は脇役であり、施工の選択肢が非常に少ない場所と言えます。


たしかに巾木で目立つ仕上げをしてしまうと建物全体のバランスを崩しかねません。

しかし、主役(外壁や外構)を引き立てる脇役として、左官の仕上げが モルタル や 薄塗り補修 では少し寂しい気がしますよね。


そこでお勧めなのが、   【 巾木ブラッシング仕上げ 】 です。









巾木ブラッシング仕上げ   は 《洗い出し仕上げ》のように石の美しさを前面に出す仕上げではなく、      目立ちすぎず、主張しすぎず、だけど良く見たら砂利の存在感があり、さりげない風合いを醸し出す仕上げ なのですよ。

何より、建物の外観を引き立たせてくれます。


これこそ、   脇役の本当の役目 ではないでしょうか。


砂利の組み合わせ、ペーストの色を工夫すれば、オリジナルな仕上げも可能です。

また、ブラッシングの タイミング や使う道具 によっても表情が変わるので、まだまだ可能性を秘めた仕上げだと思いますよ。


「 目立たない場所こそ、こだわりたい! 」   と思われる人にはお勧めの左官仕上げであります。

愛知県一宮市のほうでも、ドンドン提案していきたいです。








左官の仕事~ 洗い出し仕上げ

投稿日:11.18.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

床の左官仕上げと言えば、 コンクリート金鏝仕上げ や モルタル金鏝仕上げ を思い浮かべる人が多いでしょう。

しかし、これらは何処か物足りない感があるのではないでしょうか?

「土間にもこだわりたい!」と思われる人には   洗い出し仕上げ がお勧めです。


洗い出し仕上げ とは、 種石(玉石や砕石など)をセメントに混ぜ込み、塗り付け後にタイミングを見計らって表面を洗うという左官仕上げの工法であります。

耐用年数も長く、  しっかりとした施工 をすれば    軽く50年以上は持つ と言われているのですよ。

この、  しっかりとした施工  というのが  “ ミソ ”  なんですがね・・・


最近では手間が省けるという理由で、 『  表面強度を弱めて、次の日に洗う事が出来る 』 という事をウリにした薬品を使った工法で施工される人も少なくありません。

たしかに簡単で手間が掛からず見た目は綺麗になるかもしれませんが、 《  強度を弱める 》  という事に疑問を感じております。

出来ればしっかりと手間暇掛けた  昔ながらの工法 で施工したいモノですね。

そうすれば、50年 は安心だと思います。


その為にも 《 合見積 》  や  《 価格競争 》  に巻き込まれないようにポリシーを持って打ち合わせをして、それに見合った技術も磨かねばなりませんね。


他にも、数十年前から 洗い出し仕上げ に似せた工法で、 《 樹脂舗装 》  と呼ばれる  種石を樹脂で固める工法  が流行っております。

主に建物の外構などで見かけますが、本物の 洗い出し仕上げ と比べ、耐用年数が遙かに劣るようです。

合成樹脂の寿命は  セメントとは比べようもなく短く、いずれポロポロと剥がれてくる  ので塗り替えをしなければなりません。

また、合成樹脂特有の   新しい時は光沢があって綺麗だが、経年と共に汚くなってゆく   といった欠点があります。

このように  本物には遠く及ばない仕上げ なので、安易に手を出さないほうが良いかもしれませんね。


【 洗い出し仕上げ 】の 種石として使える石はとても多く 、 セメント部分も顔料で調色可能 なので、組み合わせ次第では和風にも洋風にもアレンジでき、新しく格好良い仕上げを開発できるかもしれません。

また、ガラスカレット(ガラスを粉砕した欠片)を種石として使った仕上げも徐々に人気が出てきました。

他にも 蓄光石(夜光石)などをポイントで使うのも良さそうですね。

また、昔の洋館などは土間や外壁だけではなく、入隅周りや窓枠周りにも 《 蛇腹の洗い出し仕上げ 》 や 《造形の洗い出し仕上げ》 が施工されている建物を見かけます。











このような素晴らしい技術が後々まで続くよう、左官屋も色々と提案をして、尚かつアピールもしていかねばなりませんね。

昔から施工されている左官仕上げですが、まだまだ可能性を秘めており、それを引き出していけるように愛知県一宮市のほうでもドンドン提案していきたいです。








左官の仕事~ 研ぎ出し仕上げ(人研ぎ、テラゾー)

投稿日:11.01.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

私が子供の頃、  小学校の手洗い場  や  デパートの床  などは左官の工法で仕上げられておりました。

耐久性や耐水性に優れ、見た目も美しい左官仕上げでありましたが、建築業界全体が手間と工期の掛かる湿式工法を淘汰して、安値で工期の短い乾式工法へ移行していく事に・・・

乾式工法の台頭と共にピタッと施工されなくなってしまったその左官仕上げこそ、  研ぎ出し仕上げ であります。


研ぎ出し仕上げ は、   人研ぎ 、   テラゾー などとも呼ばれますが、この二つは微妙に違うのですよ。



人研ぎ とは  “ 人造石 研ぎ出し仕上げ ”  の略 であります。

種石の大きさが  3~10ミリ  ぐらいの石を使った仕上げを 人研ぎ  と呼びます。

ちょっとした立ち上がり壁などにも施工可能なので、 小学校の手洗い場 で施工されているのはこちらの 人研ぎ ですね。



テラゾー とは  “ 現場テラゾー仕上げ ”  の略で、 現テラ などと呼ばれる事もあります。

人研ぎ よりも 大きな種石を使った仕上げが  テラゾー なのですよ。

種石が大きい分、高級感のある美しい仕上がりとなるので、 デパートの床 に施工されているのは主にこちらの テラゾー である事が多いです。



研ぎ出し仕上げ  は  耐久性、特に耐摩耗性に優れ、耐水性も抜群で、意匠性も無限に組み合わせる事ができ、仕上がりも大変美しい左官仕上げ  なのですが、欠点も幾つかあります。


まず、湿式工法なので手間が掛かるという事。

手間が掛かると言う事は工期も乾式工法と比べ、遙かに長くなります。

そして最後に埃の問題です。

施工中の粉塵は思った以上にたくさん出ますから・・・

これらに理解がない現場ならば、施工は止めておいたほうが良いでしょう。


しかし、上記の事さえクリアできるのであれば、とても素晴らしい左官仕上げだと思います。

「研ぎ出し?今時聞いた事無いなぁ~」と言う人も居られますが、種石と顔料のチョイス次第では現代風にアレンジした仕上げにもなるのですよ。

下の画像は私が制作したサンプルですが、皆さんはどれが好みでしょうか?

私はシンプルな 《さくら石(白ベース)》が好みかも・・・

















研ぎ出し仕上げ は、まだまだ可能性を感じさせてくれる左官仕上げなので、これからも研究していきたいですね。

愛知県一宮市のほうでもドンドン提案していきたいです。









左官の仕事~ プラスター

投稿日:10.05.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

今回はプラスターについて書きますが、ほとんど経験がない仕上げなので文献などで調べました。

私自身の経験に基づく話でないので間違っている箇所があればご容赦ください。

逆に勉強させていただけたら幸いです。


英語で 《 plaster 》  とは、漆喰や石膏、土壁など  《 左官の塗り壁仕上げ 》  の総称です。

つまり、塗り壁仕上げは全て 《 プラスター 》 なのですよ。

日本でプラスターを指すモノは  【 ドロマイト プラスター 】  もしくは、  【 石膏 プラスター 】  の事です。 昭和30年前後の左官全盛期の頃、一番多く塗られた左官仕上げと聞きました。

昔の学校や病院、その他の施設などで良く施工されていたようで、今でもその名残が残っている箇所もありますね。


【 ドロマイト プラスター 】とは、ドロマイト(苦灰石)を950~1100℃で焼成し、水和反応を経て粒子を調整して作られた塗り壁材料です。 よく漆喰と混同されますが、成分的にも似ているのですよ。

漆喰との違いは、マグネシウムが含まれる為に粘り気があり、糊を入れなくても作業性に優れております。



化学式で書くと


ドロマイト プラスター : Ca(OH)2,Mg(OH)2


消石灰(漆喰): Ca(OH)2



比べてみるとかなり近い存在というのがお分かりかと思います。

硬化のメカニズムも漆喰と同じく、炭酸ガスを吸って硬化する気硬性なので、まさに漆喰の親戚みたいな存在ですよね。


【 石膏プラスター 】  とは、焼き石膏を主原料にした塗り壁材料で、乾燥による収縮が少ない為にクラックの心配が少なく、色も真っ白なので仕上がりが美しいという特徴があります。

ただし、現在では仕上げで用いられることは殆どなく、バーミキュライト等を混入して石膏プラスターの上に塗る仕上げの下塗り材料の事を 石膏プラスター と呼ぶことが多いです。


以上、プラスターについて書かせていただきました。






左官の仕事~ タデラクト

投稿日:08.22.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

モロッコのマラケシュ地方近辺では、耐水性、撥水性に優れた漆喰が伝統的に施工されております。

その漆喰は元々、壺の表面を仕上げるのに使われておりました。

近年、その性能と仕上げの美しさがヨーロッパでは見直され、洗面台や浴槽などの水回りでも施工されているようです。

漆喰でありながら 水回りにも使える材料 、それが    【 タデラクト 】 なのですよ。


タデラクトの原材料である  《 マラケシュ石灰 》 は、日本でも K社 と P社 が輸入販売をされておりますが、P社のほうは責任施工体制なので、一般の人が材料だけを手に入れるのは難しいかもしれません。

マラケシュ石灰の硬化メカニズム(水硬性なのか?それとも気硬性なのか?)は、両社のサイトを見る限り全く違う事が記載されており、私としても困惑しております。

私が使った感じでは、水で練って一晩以上寝かしてから材料を使うので、おそらく気硬性の石灰だと思いますが・・・

水硬性ならば水で練った材料は、一晩置いたらカチコチに固まる筈ですよね。

私の認識が間違っていたらごめんなさい。


タデラクトの施工方法はとてもユニークで、 石を使って磨く のですよ!


石で磨く為、日本の漆喰磨き壁のような色ムラのない綺麗な平面の壁とは違い、アバウトな色ムラと凸凹が何とも味わい深い壁となります。

また、曲面などのややこしい部分にも施工がしやすいのも良いですね。

磨き石   は何でも良いという訳ではなく、 モース硬度が7以上 の石が好ましいとの事です。


注意したいのが、耐水性、撥水性が非常にある漆喰ではありますが、 この耐水性はあくまでモロッコやヨーロッパの人達の感覚なので、キッチリした日本人の考える耐水性とは少々違う可能性もあります。

特に水回りで使う時は、下地の段階でしっかりと防水処理をしておいたほうが無難かもしれませんね。

その辺りは今後も検証していきたいです。









黒漆喰磨き

投稿日:07.20.2014|カテゴリー:施工集|コメント・トラックバック:0件

多治見の現場で  黒漆喰磨き   を施工しました。

この輝きは数十年後、いや、数百年後も続く事でしょう。

現在、日本でどれぐらいの左官職人が   黒漆喰磨き    を施工できるか分かりませんが、こんなにも素晴らしい左官仕上げが消えて無くならないよう、しっかりと残していきたいと思います。


今回は理解のあるお施主様、工務店様に恵まれ、左官冥利に尽きる仕事をさせていただき、本当にありがとうございました。

地元の愛知県(一宮市や名古屋市)  でも施工をしたいと思っておりますので、ご要望があれば是非とも   (株)オオタ   に声を掛けてくださいね。






左官の仕事~ NHL(水硬性石灰)

投稿日:07.18.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

漆喰の原料が 消石灰 なのは多くの人が知っているかと思います。

一般的に認識されている消石灰は、 《 気硬性 》 といって炭酸ガス(二酸化炭素)に反応して硬化していくのですよ。

水と反応して硬化する事はありません。 石灰が原料の漆喰などは、空気に触れさせねば練り置きして保管ができますよね。


しかし、ギリシャ や エジプト では紀元前の頃から、消石灰に  ポゾラン(可溶性シリカ分の多い火山灰,白土,凝灰岩,ケイ藻土など)  を混入させて  ポゾラン反応  を起こし、水に反応して固まる 《 水硬性 》 の材料が用いられてきました。

これが 【 NHL 】 の始まりと言われており、その後ローマ帝国によって更に発展を遂げていきます。

近代になって セメント が開発されるまでは、西洋建築の中枢を担ってきた材料と言えるでしょう。


【 NHL 】 とは “ Natural Hydraulic Lime ” の略称、つまり 天然水硬性石灰 のこと です。

この NHL は、   最初に水と反応して初期硬化を行い、さらに長い年月を掛けながら炭酸ガスを吸って硬化し続けていく のですよ。


簡単に説明すると、   《 水硬性 》 と 《 気硬性 》 の特性を併せ持っている という事です。

塗った次の日には固まっているので、雨風の心配もそれほどしなくて済むのが利点ですね。


【 NHL 】 は耐久性に大変優れており、石灰モルタルとして厚塗りする事も出来るので、西洋では外壁にも塗られているらしいですよ。

また、吸放出性能なども通常の漆喰(気硬性石灰)と比べても劣らないので、内部で使うのも良さそうですね。

もちろん、天然素材100%なので有害な物質(ホルムアルデヒド、アスベスト等)の心配はありません。



日本では、 NHL(水硬性石灰) が輸入される前にセメントが輸入されました。 セメントの普及と古来より漆喰工法が確立されていたので、日本ではNHL(水硬性石灰)は定着しなかったようです。

その為、私達日本人には馴染みの薄い材料ですが、その歴史は   5,000年以上 と大変古く、ヨーロッパのほうでは歴史の深い建築材料なのですよ。


最近の西洋建築を模倣した住宅では、外壁に 樹脂製品(ジョ○パット、ベ○アート等) が多く塗られております。

しかし、これらはヨーロッパ等で見られる本物の塗り壁とは風合いが全然違いますよね。

また、これらの新建材と比べ、 NHL の耐久性は歴史が実績を証明してくれております。

欠点は 値段が高い ことですが、その耐久性は素晴らしく、長い目で見れば樹脂製品よりも遙かにお得ですよ。


まだまだ日本では馴染みが薄い材料ではありますが、機能的にも優れている NHL がもっと日本で普及していけば良いですね。

その為にも私達左官屋が 【 NHL 】 を研究し、提案し続けなければ・・・


名古屋市や一宮市でも  【 NHL 】  が普及していってほしいですね。





左官の仕事~ ムチ漆喰

投稿日:06.18.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

【 ムチ漆喰 】 とは琉球漆喰、沖縄漆喰と呼ばれる沖縄で独自の発展を遂げた伝統的な漆喰の事です。




沖縄ではお祝いする日(正月、結婚式、出産など)に “ ムーチー ” と呼ばれる沖縄独特のお餅(月桃の葉に包んで蒸した餅)を近所に配ったり食べたりする習慣があります。
私の妻が沖縄出身なので、長女が生まれた時は沖縄の義母がムーチーを持参して駆けつけてくれました。

ムーチーの色は茶色味が掛かっており、本土の餅とは風味も全然違います。
ムチ漆喰は ムーチー に色や質感が大変似ている事からその名が付きました。
本土で言われている 「 色がお餅に似ている漆喰であり、モチがムチに訛って名前が付いた 」 という説には沖縄を愛する私としては真っ向から反論したい ですね。

大昔はムチ漆喰の原料として使われる消石灰を 《 珊瑚を燃やして作っていた 》 らしいのですが、現在の法律では 珊瑚を採ったり燃やしたりすると罰せられてしまいます。
その為、大昔の工法でムチ漆喰を作る事は不可能となりました。
沖縄でも石灰岩は採掘されております。
しかし、主にセメントとして加工されているらしく、ムチ漆喰の原材料としては加工されておりません。
現在では石灰は九州(大分県)で採れた石灰を送ってもらい、それを原料にムチ漆喰が作られているとの事です。

土佐漆喰と同じく、ムチ漆喰も海藻糊を混入せず、石灰に藁を混入して制作します。ふたつの違いは制作方法です。

土佐漆喰 = 消石灰 + 藁(発酵させたもの)

ムチ漆喰 = 生石灰 + 藁

つまり、藁を入れる材料が 《 消石灰 》 か 《 生石灰 》 の違いです。
その為、両方とも似たような色をしておりますが、少しだけムチ漆喰のほうが色は濃いのですよ。
これは土佐漆喰に入れる藁は発酵させたものを入れる為かもしれません。

ムチ漆喰は土佐漆喰と同じく、紫外線に反応して色が薄くなっていきます。
土佐漆喰のパクリと思われるかもしれませんが、実は ムチ漆喰のほうが歴史は古い のですよ。
ムチ漆喰は13~14世紀、土佐漆喰は17~18世紀なので、ムチ漆喰のほうが500年ぐらいは歴史が古い という事になりますね。

元々、ムチ漆喰は壁を塗る漆喰と言うより、 “ 屋根瓦の継ぎ手 ” や “ 魔除けのシーサー ” 等で用いられてきました。
私自身も 《 むら咲むら 》 という体験施設で ムチ漆喰 のシーサーを2体作った事があります。
沖縄の別荘を建てる際、屋根の上に乗せる大型シーサーを作るよう義父に言われましたが、諸事情で本職のプロにお願いしました。
ちなみに下の写真は沖縄の重要文化財である  《 中村家住宅 》  のシーサーです。
沖縄の赤瓦とムチ漆喰の組み合わせも素敵ですよね。




最近では、その優れた性能から壁にも塗られるようになり、沖縄の観光スポットである 《 アメリカンビレッジ 》 の敷地内でも大きな建物の外壁が ムチ漆喰 で仕上げられております。
その姿は大変美しく、沖縄独特の “ 赤瓦 ” とも非常にマッチした建物ですよ。
旅行で沖縄の アメリカンビレッジ に立ち寄った際には是非、 ムチ漆喰 の外壁も眺めて見てください。

きっと、感動されると思いますよ。






愛知県一宮市のほうにも 【 ムチ漆喰 】 の塗り壁が採用されるよう、私もいろいろ提案していきたいです。



ムチ砂漆喰パターン漆喰のサンプル


ムチ漆喰の上に沖縄赤土を塗り付け、鏝で磨いたサンプル








左官の仕事~ 土佐漆喰

投稿日:05.10.2014|カテゴリー:Blog|コメント・トラックバック:0件

日本各地で漆喰工法は微妙に違いますが、台風の影響を受け続けてきた土佐では漆喰も独特の進化を遂げていきました。
土佐独自の漆喰を 海鼠壁 や 鎧壁 といった工法と組み合わせる事によって、耐久性がさらに上がり雨風に非常に強い外壁となります。
そんな雨風に非常に強い漆喰 【 土佐漆喰 】 は今や、全国各地で塗られているとってもスペシャルな漆喰なのですよ!


台風にも負けない漆喰を作る為に先人達が考えたのは、硬化途中で雨水が掛かった時に雨水に溶けやすい海藻糊を使うのではなく、藁を発酵すると滲出される糖類の一種・ 《 リグニン 》 という成分を海藻糊の代わりに使う事でした。
この リグニン が消石灰と反応して、土佐漆喰独特の色合い(ベージュ)となります。
ベージュの色合いが良いからと言って土佐漆喰を選んでも、この色合いは紫外線と反応して段々と薄くなり、 約10年掛けて白くなる ので気を付けてくださいね。

とは言っても、普通の漆喰のような目映い真っ白ではなく、目に優しい白となります。
ちなみに日の当たる場所と当たらない場所では色の抜け方も変わるので、同じ建物でも南面と北面では色の抜け方が違うといったケースもあるみたいです。
その辺りも説明しておいたほうが良いかもしれませんね。

土佐漆喰の歴史は以外と新しく、幕末から明治にかけて完成した漆喰と伝えられております。
そもそも土佐漆喰とは 3ヶ月以上発酵させた稲ワラと消石灰を合わせ、水で混練し、1ヶ月以上熟成させた漆喰 なのですよ。
一般的な漆喰、本漆喰との大きな違いは、発酵した藁から溶け出した成分(リグニン)が糊の代わりに保水をしてくれるので海藻糊を入れる必要がありません。
そして、高知県で古くから採取されてきた “ 土佐灰 ” という 《 塩焼き消石灰 》 を使います。

《 塩焼き消石灰 》 とは、 コークスか石炭に塩を加えて人力で手間暇掛けて焼いた作った消石灰の事 です。
粒子が不均一なので漆喰を作るには最適だと言われております。
ちなみに工業製品である 《 油焼き消石灰 》は重油を炊いて大量生産されたモノで、粒子が均一すぎて漆喰を作るには向かないようですね。

現場で塗られている “ 既調合漆喰 ” や “ 炊き糊漆喰 ” にどんな消石灰が使われているか、左官屋さんから聞いてみるのも面白いかもしれません。

話がズレましたが、 《 土佐灰(塩焼き消石灰) + 発酵した藁 》 を混ぜて熟成させたモノが 【 土佐漆喰 】 という事です。

自分で作る事も不可能ではないのですが、材料の制作に数ヶ月も費やすのはなかなか難しく、土佐漆喰を専門に作る職人に分けていただく事のほうが圧倒的に多みたいですね。
実際、自己調合で土佐漆喰を作られている左官屋さんの噂はなかなか耳にしません。
土佐漆喰を作ってくれる職人に自分の要望を出し、独自の配合で制作してもらうほうが現実的なのでしょう。

製品自体は必ず練られた状態なので、 「 粉体の土佐漆喰というモノは存在しない 」  と言う事も覚えておいてください。
土佐漆喰と袋に記載されている粉体の漆喰(既調合品)なんて不届きな製品まであるので・・・

まぁ、土佐灰(土佐の消石灰) を使った漆喰という意味では、あながち間違いではないのかもしれませんが、紛らわしいですよね。

土佐漆喰でも色々な工法があり、 《 二分押さえ 》 、 《 硬押さえ 》 、 《 磨き 》 の他に 《 半田仕上げ 》 などが一般的でしょうか。
特に 土佐漆喰の 《 磨き 》 は、本漆喰(炊き糊漆喰)よりもピカピカの鏡面となり表面強度が非常にあります。






強くてたくましい 【 土佐漆喰 】 は現在、とても注目されている塗り壁のひとつであり、もっともっと世間一般に浸透すれば良いですね。

愛知県一宮市のほうでもドンドン提案していきたいです。







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